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TSLA:とりあえずHold

テスラ(TSLA)の株価が昨日も1,900ドルをはさんだ動きで(終値も1,873.53ドル)年初来で350%、過去1年では700%以上の上昇となっている。特にここのところの上昇の要因としてはS&P500への採用の可能性や、8月末に予定されている株式分割などが挙げらているようだが、誰にもよう分からんというのが本当のところだろう。

S&P500指数への採用に関して言えば、一時的に膨大なパッシブフローが生じるのは目に見えているが、別にそれで長期的に業績(ひいては株価)がどうなるというものではない。René M. Stulz先生らの「Does Joining the S&P 500 Index Hurt Firms?」では、1997年から2017年の間にS&P500指数に組み入れられた銘柄を追跡し、採用発表による株価上昇は一時的なものであり、長期的な株価への影響はネガティブであるとしている。株式分割も同様に一時的な需給には影響を与えるだろうが、長期的なものではない。一時的な株価の上昇を当て込んでいる向きが多いのかもしれないが、この機に少し処分したいという株主も少なくはないだろうから、短期的なインパクトもどの程度になるかは分からない。

弱気の向きはバブルだと言い、強気の向きはまだまだと言う構図はまったく変わっていないが、何が適正価格か分からない状態では当然とも言える。アナリストの皆さんの目標株価も年初には300ドルくらいだったのが、今では1,200ドル程度になっていることからも、もはや「米粒と理屈はどこにでもくっつく」状態と言える。中には、「売り」の投資判断を転換する理由として、株価上昇によって資本調達コストが下がって、それが株価にポジティブやからとか、すごいことゆうてはる人もいる。

私も全然分からないが、ただ割高とか割安とか、他の自動車メーカーと比較してもケータイとスマホを比べるようなもので意味がないとは思っている。テスラはもともとコンピューターに道を走らせたようなもので、(EVであることと同時に)そこが本質的な部分だと思っているが、それは伝統的メーカーからすれば単なる電装の話のレベルを超えるものではなく、クルマの本質ではない。テスラはコンピューターなので、コンピューターにできることは普通にできて当たり前で、OTAとかコネクテッドとか特別に取り立てて言う話でないが、伝統的メーカーは、電装(ECU)を時間をかけて整理統合・アップグレードして、コネクテッドやらOTAやらセンサーによる運転’制御やらの機能を一つずつ後付けしていけば十分だと考えているように見える(そして、それが正しい可能性も十分にある)。

誰かさんがコンピューターを電話にしてみたおかげで、ケータイやらカメラの市場は破壊されてしまったが、コンピューターを自動車にしたところで大きく物事が変わるかどうかは、有力メーカーやグーグルやテスラなどのプレーヤーが今後出してくるもの次第だろう。クルマ市場が大きく変わらないのであればテスラの株価はバブルということだと思う。私は分からないので、今の水準で少し処分(単独銘柄の上限を大幅に超えてしまったので)した後は、面白そうな方の可能性にかけてホールドする。

Published in株式

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